初夢
平穏な日々を送っていた私にサプライズが訪れた。学ランに身を包んだ私と悪友のT君が高校の帰宅時、ラグビーボール大の大きな卵を道端で拾った。その卵は緑色の斑点模様であからさまに恐竜のそれそのものだった。
私とT君はその卵を拾い上げ、持ち帰った。
2人で腕組して卵の孵化の仕方を考えた。T君の家には立ち上がると大人大の大きな秋田犬のシロが飼われていた。
T君はポンと手を打ち鳴らして、
「そうだ!シロに温めてもらって孵化させよう」
とナイスアイデア。私もそれがいいと賛同した。
シロに乳母を依頼して数日後卵が見事に孵化した。
パリパリパリ
卵に縦線が入り、緊張の一瞬である。私とT君は固唾を飲んで卵を凝視する。
私たちは名づけ会議をあーでもない。こーでもないと喧々諤々の末、ミニゴジラを「チビ」と名付けた。
チビとゆかいな日々を暮らしていると突如平和な故郷に巨大なゴジラが現れた。
ゴジラは狂ったように町を破壊しつくしていく。
私とT君はすぐさま隣にいるチビの母親がゴジラだと思った。母親が我が子を探しに来たのだと。
チビの母ゴジラは、私の知っている円谷ゴジラと違って、巨大な体躯に似合わず忍者のように機敏な上、食料として人を喰らうのだった。
私とT君はチビを連れてゴジラから必死に逃げ回った。
しかし、母ゴジラは確実に標的を私たちに合わせて追いかけてくる。
何とか母ゴジラを振り切って。逃げていると私たちの前に5mほどのフェンスが立ちはだかっていた。
私とT君がフェンスによじ登って逃げようとするとチビがフェンスの前で動こうとしなかった。
「チビ、どうしたんだ?」「早く来いよ」
私とT君が呼びかけてもチビはその場を動こうとはしない。
私とt君は顔を見合わせて首をかしげていると。チビが涙を目にうっすらと浮かべて
「本当に君たちに会えてよかった。とても楽しかった。ありがとう…」
チビはそこまで話すとニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべて
「なんて、言うとお・も・うなよ。……。ママーーーーー!!!」
チビが突然叫んだ。
えええええええええええ????!!!!
(私とT君の心の叫び)
離乳食を与え愛情いっぱいに育ててきたというのに!!!
次の瞬間振り切ったはずの母ゴジラが私たちの目の前に現れた。私とT君は母ゴジラの餌食に・・・・
飛び起きるように目が覚めた。周りを見渡すとそこは見慣れた自分の部屋だった。全身汗だくになっていた。
たくさん寝たはずなのに異様に疲れた。なんて初夢だ!!