昔々、まだ介護保険が開始する前、老人病院と言わる病院が町に溢れかえっていた時代のおはなしである。
長年に渡り、病院を半年周期でたらい回しにされていたご高齢の紳士がまだ新人で右往左往していた私にぼそりといった言葉が今でも忘れられないでいる。
「ナースは朝来て夜帰る。医者は朝来て昼帰る。息子は今来て今帰る。」
深い！上手い！世知辛い！
なんて重みのあるお言葉。詩？歌？格言？何かはわからないが、とにかく今でも時折、その時の紳士の憂いとも悲しみともつかぬ顔と口調を思い出すことがある。年を重ねるごとにこの言葉に深みが増している気がする今日この頃です。
