GOMAXのブログ

楽しいお話を書いていきたいと思っています。よろしくお願いします。

はてな中級ブログチャレンジのムチャ振りに挑戦中!!「うちんち」⑤

Twitterをどうにかこうにか設定したぞ。どうだまいったかブログチャレンジ!

しかし、使い方がいまいち分からん…。まぁいいか、設定したし。チャレンジ成功ってことで。

 

夕べ食べたスンドュブの余りのスープにうどんを入れて、昼飯完成。リサイクル飯をかき込んで続きを書きましょうっと。

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うちんち⑤

 

時恵は、やれ買物だ、さつきの所だと、家を空けることが多い。それに比べ、再就職先の初出勤の日まで二週間近くある源三郎は、一日じゅう家にいた。……暇だった。結局、源三郎は嫌々ながらも子犬の世話をする羽目になった。


「あーウンチした!」
「電気コード噛みちぎった!」
「風呂で暴れる!」

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仕事をしていた方が楽だ、と思う源三郎であった。


♪なんで、なんで、なんで~ どうして、どうして、犬っころの世話なんか~~
僕は泣いちっち、毎日泣いちっち~♪


源三郎は、守屋浩の『僕は泣いちっち』のメロディーに乗せ、そーっと時恵に抗議するのだった。

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そんな源三郎だったが、世話に追われる日が続くうち、だんだんと犬のことが可愛く思えてきた。あまり家に居ない時恵と、一日じゅう面倒をみてくれる源三郎とでは、当然子犬は源三郎に懐いてくる。

 

しかし「名前は〝源太〟がいいな」と、時恵がまたも勝手に決めてしまった。


――世話をするのは、俺やのに――


とは思ったものの、源三郎もこの名前はまんざらではなかった。


「女の子だったら〝さつき〟、男の子だったら〝源太〟がいいね」


ずいぶん昔……さつきが時恵のお腹の中にいた頃、まだ見ぬ我が子の名について二人で話し合ったことを、源三郎は覚えていたからだ。


その後、二人の間に子供はできなかったが、待望の長男・源太(ラブラドールレトリバー)が、このたび佐藤家の一員として迎えられることとなった。

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源三郎は、源太の犬小屋を造り、庭に遊び場を造りと、毎日忙しく暮らしていた。当初は子犬の世話を嫌がっていた源三郎が、今では専門雑誌まで買って来て、源太のしつけや餌選びに夢中になっている。そんな源三郎の姿を、時恵は微笑ましく見つめていた。

 

「じゃ、行って来る」
初出勤の日。源三郎は久しぶりに味わう緊張を、少し楽しんでいた。
再就職先となった『特別養護老人ホーム 希望の里』は、和泉大津市で一番初めにできた特養だ。源三郎が役人時代に手がけたものであり、源三郎にとっては久方ぶりの旧友との再会といった面持ちだった。


『希望の里』の門を潜り、玄関前で源三郎は大きく深呼吸をした。


「よし!」源三郎は気合を入れて、押と書かれたドアノブに手をかけ、施設の中に入った。


今日は、源三郎の初出勤を祝うような晴天だった。しかしそんな春の陽気とは正反対に、建物内は薄暗く、冷気が肌を差す。源三郎は、玄関先に設置された小窓を覗き込んだ。中は事務所のようになっていて、数人の事務員らしき人間が見える。源三郎は小窓を開け、事務員に話しかけた。


「すみません。佐藤ですが、事務所はここでええんかね?」すると女性職員の一人が「あっ」と声を漏らし、駆け寄ってきた。「すみません。センター長の……」女性職員は、恐縮しながら源三郎に聞いた。


「そうです」源三郎が答えると、
「次長、小宮山次長! センター長が来られましたーーーーっ」


女性職員は明らかに狼狽し、事務所の奥に向かって大声を上げた。ややあって、奥から背広姿の四十代半ばの男が顔を出し、小走りに事務所から出てきた。


「小宮山です」小宮山は源三郎に会釈しながら言った。


源三郎は事務所の中に通され、デスクに案内された。机上には『センター長』と書かれたプレートが置かれていた。源三郎は少しこそばゆい気がした。


希望の里の次長である小宮山は、センター長不在の時期が長かったため、実質、センター長の仕事をしてきたのだと源三郎に説明した。小宮山に連れられ、施設の中を案内してもらうこととなった。

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五時のチャイムが鳴った。
「今日は初日やし、いいですよ」
小宮山に言われ、他のスタッフより先に家に帰ることにした。
「お父ちゃん。お疲れ様!」
玄関先で時恵が陽気に源三郎を出迎えた。源三郎は家に上がり、久しぶりに袖を通した背広を脱ぎながら、大きな溜息をもらした。
「どうしたん? 仕事えらいんか?」
肩を落とす源三郎を不思議に思った時恵が尋ねた。源三郎は黙って首を左右に振った。
「そうか」
時恵はそれ以上、何も聞かなかった。