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GOMAXのブログ

楽しいお話を書いていきたいと思っています。よろしくお願いします。

簡単らくらくダイエット!!おまけ:うちんち⑭

小説(うちんち)

ついに体重が70kgを越してしまった。

 

分かりづらいだろうから女子に置き換えてみると

 

身長150cmの女子が体重50kgを超えたような衝撃である。

 

まぁ、最高に肥っていたときは80kgをマークした私なのでそんなに恐れることもないのだが、それでも身長172cmの私からすればかなり行きすぎの数字ではある。

 

BMI計算しても小デブ領域まっしぐら!

 

とにもかくにもダイエット!!

 

仕事柄ダイエットは得意中の得意。

 

まぁ、まぁ、見てなさい。醜い贅肉どもよ。木端微塵に蹴散らしてくれるわ。

 

天にましますわれらが散脂天様。どうかお守りください。

 

てな感じでダイエットーーー!!

 

ダイエットが大変と言う方もおられますが、簡単です。

 

今はやりの「働かないオジサン上司」の逆をすればいいんです。

 

「まぁ、見てなって」

 

てな具合に部下の仕事を根こそぎやっちまうわけです。

 

仕事をちょこっと多めにするだけ!(2~3倍ほど)なんてお手軽!!

 

下の子からは感謝されるし、お客さんも大喜び。僕も痩せられて、みんなハッピー!

めちゃハッピー!

 

てなわけで、お試しあれ。3kgや5kgはらくらくに痩せられますよ~。

 

\(^▽^)/

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うちんち⑭

 

明くる平成十五年。源三郎と花梨は新年を病院で過ごす羽目になった。


もう入院して一ヶ月ほどになる。相変わらず医師の許可とやらは下りず、源三郎は立ち上がれない苛立ちを日ごとに募らせていた。


そんなある日。


我慢の限界に達した源三郎は、腕に付けられた点滴管を自ら抜去し、荷造りを始めた。
その様子を見つけた看護師が、いつもの金切り声を上げた。


「佐藤様!! 何やってるんですか!」


「帰るんや。いつまでもこんな所におったら、頭が変になってまうわ!」


源三郎は看護師を怒鳴りつけた。


「せ、先生呼びますから、それまで待って下さい!」


看護師はナースコールで応援を呼び、駆けつけた他の看護師らとともに源三郎を押さえ込んだ。そしてほどなく担当医が現れた。


「もうすぐですから、もうすぐ。病状も回復に向かっていますし、もう少しの辛抱ですから、我慢して下さい」


医師は退院を思い留まらせようと、穏やかな口調で源三郎の説得に当たった。


「いや、通院で来ますから。今日は帰ります」


源三郎はそう言って看護師達の手を振りほどき、荷造りを再開した。


「……分かりました。ですがもう一日――もう一日だけ時間をいただけませんか? 明日また伺いますから」


「あと一日ですか……分かりました。せやけど明日には必ず帰りますよって」


医師の説得に、源三郎も渋々ながらも了承し、荷造りの手を止めた。源三郎がベッドに戻るのを見届けて、医師と看護師達は病室を後にした。


「やれやれ。あと一日で帰れるんか……明日は花梨にうまいもん作ったらんとな」


源三郎は安堵し、胸を撫で下ろした。


ナースステーション内では、看護師の一人が回収した点滴を手に取り、医師に指示を仰いでいる。


「先生、どうしましょう?」


医師はうつむいて黙考していたが、おもむろに顔を上げ、看護師に告げた。


「仕方ないですね。デパス追加しときます。デパスレンドルミン、分(ぶん)2で出しときますから入れて下さい。しばらくは、寝てていただきましょう」

 

翌日から、源三郎はレム・ノンレムの世界で暮らすことを余儀なくされた。うっすらと眼は開くが、体が言うことを聞かない。しきりに眠気が襲ってくる。家に帰ろうにもこれでは帰れない。花梨が面会に来ているのに、自分を呼んでいるのに、返事すらできない。


源三郎は、思考回路が消滅していくのを、雲海に浮遊しながら味わうほかなかった。
そんな状態が一ヶ月以上も続いた。


高畑が病室に現れたのは、節分も終わった頃だった。


「覚えておられますか、高畑です」


源三郎は、朦朧としながら男の顔を見上げた。まったく見覚えのない顔だった。


「あの~……どちら様でしたかね?」


高畑は優しい口調で源三郎に話しかけた。


理学療法士の高畑です。リハビリです。歩く練習しましょう。先生から許可が下りました。今日から頑張っていきましょう」


――起きて下さい。
――座って下さい。
――立って下さい。


高畑に指示されたことが何一つ上手くできない。体が思うように動かせない。


「すみませんが、これも一応検査ですので、協力して下さい」


そう前置きして、高畑はいくつかの質問をした。


「今日の日付は?」
「百引く七は?」
「野菜の名前をたくさん言うて下さい」


源三郎は、答えに窮した。


「それは…………あの……」


簡単な質問であることは理解できるのだが、どうしても答えることができない。


「頭が変やな。そんな簡単なことも答えられへん。なんでや……?」


源三郎は急に不安に駆られた。頭を振り絞って考えても、何も浮かばない。何も分からない。源三郎は当惑し、どうしたらいいのか見当もつかないでいた。


「ゆっくり、ゆっくり、やっていきましょう」


高畑はそう言って、病室を後にした。病室を出た高畑は、廊下の壁を力いっぱい殴りつけた。高畑の拳には血が滲んでいた。

 

翌日から、本格的にリハビリが開始された。立てなかったのが嘘のように、源三郎の体はみるみる動きを取り戻していった。リハビリを始めて二ヶ月ほどで、歩いて外を散歩できるまでになっていた。だが、何かがおかしい。頭の中の霧が晴れない――源三郎の不安は次第に募っていった。


花梨は変わらず、毎日様子を見に来てくれている。源三郎はそれだけを楽しみに日々を過ごしていた。


花梨のことは分かる。しかし、今話したばかりの内容や、さっき食べたはずの食事の献立まで、すぐに頭の中から消えてしまう。


「変なおじいちゃん」


花梨は笑うばかりだったが、得体のしれない不安は、源三郎の胸の内で、日に日に大きくなるのだった。


そんなある日、源三郎にとって、非常にショックな出来事が起きた。


源三郎が廊下を歩いている途中――何やら、冷たいものが股から太ももにかけてつうっ、と通った。なんだ? とパジャマのズボンの中に手を入れてみると、いつの間にか小便を漏らしていた。パンツを履きかえなければ。源三郎は、病室に引き返そうとした。しかし――病室が分からない。


廊下を右往左往していると、看護師の一人が駆け寄り、源三郎を病室に連れ帰った。病室に入ると看護師は、慣れた手つきで源三郎のパンツを脱がし、オムツを宛がった。


「いや、オムツなんかいらん」


源三郎が言うのも聞かず、看護師は手際よくオムツを着けてしまった。


「またお漏らししちゃダメだから、念のために付けておいて下さい。オシッコしたくなったら、外して、いつでもして戴いて結構ですから」


そう言って看護師は病室から出て行った。


――また漏らしちゃったら迷惑だからな。仕方ないか――


源三郎はそう思い、嫌々ながらもオムツ着用を受け入れた。

 

源三郎が入院して一〇〇日が過ぎた。桜咲き誇る中、花梨は三年生に進級した。


ある日、幸子が病院に呼び出された。


「もうそろそろ退院の時期ですので、どうされるか考えておいて下さい」


医師が言うと、幸子は慌てて医師に聞いた。


「でも先生、義兄(あに)は痴呆なんですよね? 家に帰しても大丈夫なんですか?」


「まぁ、体はもう大丈夫ですから。幸い麻痺もほとんど出ませんでしたし、これ以上病院にいても、すること無いですからね。施設にお入りになるのでしたら、介護保険の手続き等を行って下さい」


医師はそれだけ言うと、その場から立ち去ってしまった。


その夜幸子は、いつもどおり花梨に夕食を作りながら、途方に暮れていた。花梨が夕食を食べ終わるのを待って、幸子はゆっくりと話を切り出した。


「あんな、花梨ちゃん。おじいちゃんのことなんやけど」


「うん。食べすぎた~!」


花梨は幸子の作った治部煮を平らげ、居間で大の字になって天井を仰いでいた。


「ちょっと座ってくれる」


幸子が言うと花梨は重そうに体を起こして、幸子の方に向きを直した。


「おじいちゃん、お家に帰って来られへんかもしれへんのやって」


幸子が話すと


「なんで?! おじいちゃん、もう治ったんやろ?!」


花梨が立ち上がり、声を荒げた。


「ちょっと落ち着いて聞いて」


幸子が花梨を諭すようにゆっくりとした口調で話した。花梨はしぶしぶ椅子に腰かけた。


「花梨ちゃんがお見舞い行ってた時、おじいちゃん、変なこと無かった?」


幸子が聞くと、う~んと花梨は腕を組んで考えている。


「別に……まあ、たまーに変なこと言うとったけど」


「どんなこと?」


幸子が身を乗り出して、花梨に聞いた。


「ご飯食べたばっかりやってんけど〝昼飯まだか〟って。さっき食べたやんって花梨が言うたら〝そうか〟って」


「そう。やっぱりな」


「それがどうしたん?」


花梨が幸子の顔を覗きこんだ。


「あんな、花梨ちゃん。おじいちゃん、体の病気は治ったんやけど、そのせいで、頭の病気になってもうたんやって。せやから次は、頭の病気の人達がぎょうさん住んではるお家(うち)に入ったらどうやろうって、お医者さんが言うてはんねん。せやから……」


「イヤや! 花梨、おじいちゃんと住むねん! おじいちゃんが帰って来(こ)ぉへんのやったら、花梨がおじいちゃんの行くお家に行く!」


「花梨ちゃん、無理言わへんの。毎日会いに行ったらええやん。ここの家の近くの施設にしてくれるって、病院の人も言うてくれてはるし」


「……せやけど……」


花梨はうつむき、しばらく考えこんだ。そして


「やっぱりイヤや!」


顔を上げ、きっぱりと幸子に言った。


「……もうちょっとやから。おじいちゃんの頭の病気治ったら、すぐおうちに帰って来られるさかい。もうちょっと……な? 分かるな?」


幸子は花梨の肩を抱き、諭すように言った。花梨はそれ以上、何も言えなかった。

 

つづく