GOMAXのブログ

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壮絶バトル!!勇猛果敢、「帰り隊」の戦歴

知人に「短編で書いてみてはどうだろうか?」とアドバイスをいただいた。

 

元来、めちゃんこ、、人の意見に左右される性分の私は、なるほど短編か~。と思い。ちょっと書いてみることにしてみた。

 

壮絶バトル!!勇猛果敢、「帰り隊」の戦歴

 

今日も「施設」では熱い戦いが繰り広げられる。戦闘の最前線、面会者用ドアの前にはチーム「帰り隊」が陣取っている。所謂、帰宅願望者である。隊員達は、隙あらば大脱走を図ろうと昼夜問わずドアの前でチャンスを窺っているのだ。

 

面会者到来!

 

開かずの扉が今、開かれる。戦闘開始の合図である。

 

キックオフ!(試合開始の合図)

 

駿河「さぁ。今日も熱い戦いが繰り広げられようとしています。私、面会者用窓口で受   け付けをやっております。駿河、スルガと申します。実況を担当させていただきます。コメンテーターに主任理学療法士の鴻池さんに来ていただいております。よろしくお願いします。」


鴻池「よろしくお願いします。」


駿河「ディフェンス介護士達がオフェンス「帰り隊」の前にカバディーさながらに立ちはだかり、鉄壁の陣を組んでおります。」


鴻池「介護士越前君(23)はディフェンスの司令塔として最近若手の中で頭角を現している、ニューフェースですからね。楽しみです。今日は鶴翼の陣ですね。流石と言うところですか」


駿河「陣が形成されたようです。越前君がオフェンス「帰り隊」を凝視しながら、リモコンで扉を開いた!!帰り隊の面々が自動ドアに向かって突進していきます!!」


鴻池「やっぱり予想通り菊江さんが出てきましたね。」


駿河「菊江さん(68)は前期高齢者と言うこともあり、機動力が違います!」


鴻池「菊江さんはランニングバック(華麗なステップで相手ディフェンスを翻弄しながら前進してく係)としても定評がありますからね。」

 

駿河「オフェンス介護士軍団が、菊江さんにタックルで制止する。しかし、菊江さんディフェンスのタックルをスイム (腕をクロールで泳ぐように使って相手ブロッカーを横へかわすこと)で交わした!!」

鴻池「左手には荷物が詰まった紙袋を抱きかかえていますからね。右手一本で20代の介護士のタックルをスイムで交わすなんて、かなりの高等技術ですよ。」

 

駿河「菊江さんの単独ランで鶴翼の陣が崩れた!!おっと!菊江さん左手に抱きかかえた荷物を落とした!!」


鴻池「ファンブル(ボールを持っている選手が落とすこと)ですねぇ。これは痛い。」


駿河「菊江さん。荷物に気を取られている間に、介護士に抑え込まれた。」


鴻池「逆サイドから、塩見五郎さん(82)が出ましたよ。」


駿河「追いかける介護士。ディフェンス随一のランナー国立君(22)が後を追う!真っすぐ自動ドアに出るかと思いきや、五郎さん国立君の突進を予測していたのか、カットバック(守備側の選手を避けるために急激に方向転換すること)で国立君を交わし、ゴール(自動ドアの外側)に向かって一直線だ!!」


鴻池「取り押さえられている菊江さん以外のオフェンス(帰り隊)全員がチャンス到来とばかりに自動ドアに突進した!!」

 

駿河「右翼陣営は菊江さんの攻撃で少し手を取られていますが、左翼ディフェンスは無傷。オフェンスに総攻撃を仕掛けます。ディフェンス(介護士)とオフェンス(隊員達)の壮絶な戦闘が繰り広げられる!!帰り隊歴16年のベテラン奥州花江さん(82)が一人は中央突破を図ろうとしています!!花江さん!ディフェンス(介護士)の陣が崩れたところを縫ってゴールを目指す!!」


鴻池「遠江信彦さん(86)は両手で抱えた荷物だけでも娑婆の空気を吸わせようと開けられたドアの外に荷物を投げ捨てましたね。

 

駿河「おっとーー!!花江さんが自動ドアの前に後2mと迫ったところで、無情にもドアは閉まってしまった!!!試合終了!!!花江さんは悔しさのあまりドアを蹴り倒しております。強化ガラスの鈍い音がホールに響ています。」


鴻池「遠江の荷物だけが、ゴール(自動ドアの外に投げ出されている)してますねぇ。」


駿河遠江さんの投げ出された荷物に哀愁させ感じますね」


鴻池「そうですね。後で拾っておきますね。」


駿河「実況は駿河がお送りしました。鴻池さんありがとうございました。」


鴻池「ありがとうございました」

 

またもや帰り隊は、介護士軍団に敗北。壮絶バトルを繰り広げた隊員達は、何事も無かったように、再び所定の位置に戻り、次の機会を狙うのだった。

 

おわり