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理学・作業療法士学生、指導役と相次ぐトラブル 養成課程・実習環境、見直しへ


毎日新聞2017年9月8日 大阪朝刊


 リハビリの専門家として病院や福祉施設などで働く理学療法士作業療法士の国家資格の取得に必要な臨床実習で、実習先の施設に勤務して指導役となる両療法士と学生とのトラブルが相次いでいるとして、元学生や専門家らから改善を求める声が上がっている。理学療法士の養成課程について詳しい専門家による調査では、2009年度から昨年度まで、回答した学生の約6割が臨床実習について「不当な待遇と感じた」と答えた。また、実習先での指導役からのパワハラが原因で自殺したとして、大阪市内の学生の妻が実習を受けた施設の運営法人らに損害賠償を求めて大阪地方裁判所に提訴する事態も。厚生労働省は6月に専門家による検討会を設け、養成施設への外部評価導入など指導体制の見直しに乗り出した。【林由紀子】


 ●「パワハラで自殺」
 「本当にもう無理。情けない自分とこれ以上向き合えません……」。2013年11月、理学療法士を目指して大阪府内の専門学校に通っていた大野輝民(てるひと)さん(当時39歳)が実習先のクリニックを抜け出し、神戸市内の公園で自ら命を絶った。妻の佳奈子さん(44)は翌年、「夫の自殺は実習先で受けたパワハラ的指導が原因」として専門学校とクリニックをそれぞれ運営する医療法人を相手取り、約6000万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴、現在も係争中だ。


 高校卒業後、非正規の職に就いた輝民さんは生活の安定を考えて36歳で専門学校に入学。国の規定では、理学療法士作業療法士の国家試験受験には、18単位の臨床実習が必要となる。佳奈子さんによると、最終学年での1度目の実習中、大量の課題に対応できず輝民さんが体調を崩し中止。2度目は終えたが1度目の中止により単位が不足し留年、13年に再び実習を受ける中で死を選んだ。実習では指導役の療法士から厳しく叱責され、途中で「帰れ」と言われるなどされた、という。佳奈子さんは裁判についてのホームページを運営。元学生らから指導役の療法士からパワハラを受けた、という情報が寄せられるという。「実習でのパワハラは夫のケースだけではない。国や関係団体は、こうした実態に正面から向き合ってほしい」と訴える。


 ●「相性が単位左右」
 09年度から臨床実習について、学生にアンケート調査をしてきた九州地方の専門学校教員の松崎秀隆・保健医療学博士によると、毎年約6割の学生が臨床実習で「不当な待遇と感じた」と答えるという。具体的な内容としては、指導役の理学療法士から受けた仕打ちとして「無礼、冷淡な態度」「悪い成績をつける、単位をあげない(と言われた)」「忙しいとあまり指導されない」--などが挙がるという。また、厚生労働省が今年1月、全国の両療法士の養成施設を対象に行った調査では、大野さんのように理学療法士を目指して留年した学生のうち20%(作業療法士は25%)で臨床実習が留年の原因とした。また、臨床実習に絡んで学生から受けた相談などの内容を聞くと、約2割が指導役とのトラブルを巡るものだった。


 臨床実習での指導の様子について元学生たちを取材した。大阪府内の理学療法士専門学校で留年が決まった後、退学した府内の男性(25)は岡山や高知の病院や老健施設で実習を受けた。「質問しても(指導者は)きちんと答えてくれず、禅問答のようなやりとりを繰り返した。大量の課題を出されて毎晩、明け方までリポートを書いた。昼間は『おまえは向いてないだろう』と言われ続けた」と語る。九州地方の30代男性は大学卒業後、専門学校2校に計6年通ったが実習に合格できず国家試験を受験できなかったという。「実習先では指導役に暴言を吐かれ、人格攻撃されたうえに不適格とされた。そこから他の就職口を探すのも大変だった。費やした時間とお金を返してほしい」と訴える。


 兵庫県内の病院で理学療法士として働く40代男性は資格取得まで7年かかったといい「学生の実習での様子を評価する客観的基準がなく、指導者との相性が合否を左右すると感じた」と指摘。「指導役になる療法士は仕事に追われ、学生の面倒まで見切れないのが実情。学生がストレスのはけ口としてパワハラを受ける可能性はある」と語る。


 ●学校との連携課題に
 理学療法についての講義を担当している中国地方のある大学教員は問題の背景として、実習内容について指導役の療法士の裁量の範囲が広いことや、職人徒弟制度に似た雰囲気を挙げる。その上で「熱心な指導者ほどパワハラをしやすく、そういう指導を受けた人が指導役になると繰り返す恐れがある」と語る。「教員が実習先へ引率、指導もする看護学生と違い、通っている学校と実習先が切り離されがち。学校は実習先との連携を密にするべきだ」とする。


 松崎博士は「これからの療法士は教育的立場に立つことを前提に指導方法論を学ぶべきだ」と指摘する。輝民さんの義姉、小林由香子さん(45)は「臨床実習に関して学校も実習先も無責任で、学生には相談できる第三者機関もない。資格取得後に臨床実習を受けるなど、改善してほしい」と訴える。


 現場で働く理学、作業両療法士の数はこの15年で約3倍に増えた。両療法士の団体は09年、学生の増加で臨床実習にふさわしい環境整備が十分でないなどとして厚労省に対策を求める要望書を提出。同省はこうした状況を受けて、実態把握のため今秋、学生を対象にした調査を行い、パワハラの体験についても聞く。また検討会で実習のあり方の改善案をまとめ、19年度の学生からの適用を目指す。厚労省医事課は「臨床実習について問題意識は持っている。有識者の意見を聞きながら総合的に検討したい」と話している。
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 ■ことば
理学療法士作業療法士
 いずれも国家資格で、高齢者や障害者、負傷した人などのリハビリを支援する。理学療法士は身体面に特化。起き上がる、立つ、歩くなど日常生活で必要な基本動作の維持や回復を目指す。作業療法士は基本動作の回復後の患者の応用動作(入浴や食事など)や精神面のリハビリを担う。

 

上記は毎日新聞の記事だが、どうも学生目線の意見が目立つ気がする。

 

実習=修行

 

の構図は、決して悪いものではないと個人的には思っている。

 

学校の指導要綱には、「一人で理学療法がおこなえる」「少しの助言で行える」等の学生に対する評価基準が設けられているが、教えるバイザー(学生担当療法士)が勉強できる人であればあるほど、評価は厳しいものとなる。しかも、学生レベルで、バイザーの助言無しで理学療法がおこなえるほど、甘い学問ではない。

 

逆に全く勉強していないバイザーが適当に学生に対してなーなー、お友達感覚で実習を合格させ、何の勉強もしていない学生が次の春から患者を診る事態になるのは、絶対に避けなければならない。

 

実習は厳しいものである。当然である。疾病や障害を熟知して治療にあたらないと障害が取れない。

 

疾病の回復期間がたった6か月しかないのに、その貴重な期間を治りもしない理学療法作業療法を受けて、人生を棒に振ってしまう患者さんたちの気持ちを考えると、いたたまれない。結果を出せなかった療法士たちはどうやって責任を取るのか。

 

自分が障害を負って、治りもしない治療を受けさせられることを想像してみてください。そして、手遅れの時期に入ってから、別のところで見てもらおうにも、もう、期間が終わってますので、医療保険では治療できません。って言われちゃうんですよ。患者は病院選びを絶対に失敗できないんです。いくら医者が高名なところでも、療法士の腕がなければ、寝たきりになってしまう。なので、実習は手を抜くべきではない。

 

数年前から、実習担当療法士の資質(人間性)や教育水準については、問題になってはいた。しかし、看護師や医師の実習でも同じことは言えるだろう。

 

実習において、パワハラモラハラ、セクハラとハラが多くなえれば、多くなるほど、教育は成り立たなくなってくる。学生が楽して実習が終えられ、勉強もしないで国家試験が受かるのであれば、そんな資格ははなからいらない。

 

(実際に私自身としては、セクハラやパワハラと言われたことはないが、学校の実習指導研修でしこたま言われる。セクハラとかうるさいので、女子学生はとったことがないが、最近は男子生徒でもセクハラと騒ぐ輩がいるらしい。恐ろしい。)

 

学生迎合型の指導を学校側から強要されるので、実習生受け入れを随分前に止めた。

 

「遅刻するな」「ちゃんと実習に来い」と学生に流しただけで、パワハラと言われ、移乗動作やテクニカルな指導をする際、理学療法士は必ず患者の体に触れる。学生にやって見せる際、学生に触れただけでセクハラ。「実習に来ないんだったら、学校に連絡するね」と言えば、モラハラと言われてしまう。実習にならない。

 

一度学校に言われたのが、「規定時間外の指導はしないでください」と言われたことがある。

 

つまり、どういうことかと言うと、学生は9時から5時までの間の実習を2か月とかっていう形で来る。

 

9時から5時は仕事の真最中である。指導なんかする時間もなければ、フィードバックする時間もろくにとれない。時間がない中で、助言ぐらいは規定時間内にするが、それでも十分なフィードバックは就業時間内には取れないのである。

 

するとどうなるかと言えば。就業時間の終えた6時から指導時間となる。こちとら、患者を診ながら学生の面倒を見ている立場からすれば、わざわざ残って親身になって指導したら、「フィードバックが長くて帰れないから嫌だ」と学校に学生が言う。すると学校が慌てて、こっちにクレームをつけてくる。また逆に、おざなりなフィードバックで適当にやったらやったで「親身になって見てもらえない」と学生からクレームが入る。すると、学校から連絡が入って「ちゃんとしろ」的なクレームが来る。

 

いっておくが、学生がいくら来ても、こっちはサラリーマンなので一円にもならんのだ。親身になったらなったで、クレーム。適当にやればクレーム。全て学生本位。

 

やってられん。勝手にしろ!!

 

ふざけんな!!!

 

学生本位で実習するなら、実習なんか辞めちまえ!!

 

こちとら、実習要綱を丸暗記するぐらい読み込んで、指導しているんだ。学校側が高いレベルを求めてくるから、自然と厳しくならざるを得ない。もっと緩い感じで要綱を作っておけば、ゆる~い実習ができる。指導要綱が、高いレベルを学生に求めすぎなのだ。

 

そもそも、実習担当療法士に資質がどうのと言って、パワハラ、セクハラ、モラハラと騒いでいるが、学生がどうなのか?という事に新聞記事は振れていなさすぎる。

 

レポートは書いてこない。ことあるごとに実習を休む(実習期間の休める日数ぎりぎりまで、すべての学生が実習を休む)。態度も悪く、実習中にタバコを吸いに行って帰ってこない。それでも、実習を合格させるのか?

 

一定の基準は必要だ。「言われたことができない」(朝ちゃんと来る。とか、レポート提出日までにレポートを提出するとか。休み時間は1時間とか。笑っちゃうようなことができないってことですよ)「患者に対して失礼極まりない態度をとる」(患者の上着を足で跳ねるとか、ため口でしゃべるとか、挨拶もしないでいきなり検査を始めちゃうとか。検査の途中でどっかいっちゃって帰ってこないとか。信じられへんことを学生さんはやってくれるんです。)治療以前の資質に対して、誰がどう指導してきてくれるのか?

 

我々実習指導者は学校の先生でもなければ、親でもない。礼儀作法や決められた時間に実習地に来るといった、社会通念・一般常識すらない学生にどう対応するのか、きっちり整理して頂いたうえで、各学校には学生を実習に出してもらいたい。

 

また、楽したいだけの学生に迎合しなければならないような実習ならする必要もない。教育水準を学生目線に合わせてしまうと、「楽して単位だけくださいよ~」がほぼすべての学生の願いである。そんなところに合わせると、寝たきり患者が増えるばかりか、療法士自体の存在意義がなくなり、消滅する資格となるだろう。