寒さ対策薬膳料理 おまけ:うちんち⑮
今週のお題「冬の寒さ対策」
薬膳に体を温める食材というのがあるので少し薬膳のお話をば
もち米・アナゴ・イワシ・鮭・牛肉・鶏肉・コーヒー・紅茶・日本酒
お酢・かぼちゃ・玉ねぎ・菜の花・にら・大蒜・くり・ざくろ・みかん・桃・キビ
などなど。
というわけで、こんな料理はどうだろう。
大雪に見舞われても大丈夫。
寒さ対策薬膳プルコギ飯定食
材料
牛肉薄切り・にんじん・たまねぎ・にら・にんにく焼肉のたれ,
ご飯に少しもち米を足すってのも美味しいかもです。
にんじんも微温なのでちょっと温めてくれる食材でーす。
これに
かぼちゃと鶏肉のスープを添えたりなんかして、
食後にざくろ、みかん、桃のフルーツポンチにマロングラッセ、コーヒーやお紅茶で締めれば、
冬の寒さを乗り切る、あったか・ほっりプルコギ定食のできあがり。
めしあがれ。ポカポカですぞ~。
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うちんち⑮
数日後。
源三郎は退院した。そして自宅へ戻ること無く施設に直行し、入所した。小学三年生の訴えは通じないまま、源三郎と花梨は離れ離れに暮らすことになった。
源三郎の病室で花梨は、退院の荷造りを無言で淡々と行(おこな)った。毎日源太をつないでいた病院の玄関横の桜が、嫌味なほど満開に咲き誇っていた。
幸子の夫の運転する自動車で、施設まで源三郎を送ってもらった。
「おじいちゃん、ここやて」
花梨が源三郎に、車を降りるように促した。
「どこ行くねん、家ちゃうやんけ!」
源三郎は、あからさまに怪訝な表情を浮かべた。
「ええから!」
花梨は源三郎の手を引き、半ば無理やりに施設の中へと連れて行った。
「どうしたんや?」
普段と違う花梨の様子を心配して、源三郎が言った。花梨は、案内された居室に、源三郎を押し込んだ。
「おじいちゃん、ここに座っとって」
花梨は居室のベッドに源三郎を座らせ、荷物の整理を始めた。手続きを済ませた幸子が源三郎の居室に顔を出す頃には、荷物は綺麗に片付いていた。
「いい? おじいちゃん。花梨毎日来るよって。何かあったら、これ押すねんで」
花梨はそう言って、ナースコールボタンを源三郎に手渡した。
「いや、ちょっと待てって。ここどこやねん? 家、帰るぞ」
「あかんねんって!」
花梨は立ち上がろうとした源三郎を制し、ベッドに座らせた。花梨はうつむいて唇を噛みしめ、小さな肩を震わせている。
「どうしたんや、花梨? なんで泣いとんねん?」
心配そうに源三郎が尋ねた。源三郎の優しい顔を見ているうちに、花梨の表情はみるみる歪んだ。病院からここまで、歯を食いしばって我慢してきたが、もう限界だった。
「おじいちゃーん!!」
花梨は源三郎に抱きつき、堰を切ったように大声を上げて泣き出した。
「よしよし、大丈夫や、大丈夫や。おじいちゃんがおるからな……」
源三郎はぎゅっと花梨を抱きしめ、花梨の背中をゆっくりさすった。
「ほら、もう大丈夫や。な?」
源三郎は微笑みながら、花梨の涙を拭った。そして花梨の額に自分の額を合わせた。
「……うん」
花梨は泣くのを力いっぱい堪え、首を縦に振った。
「よーし、ええ子や。 それでこそおじいちゃんの孫や」
源三郎は大きな手で花梨の頭を撫でた。
「……おばちゃん、あとよろしゅうな!」
花梨は幸子に言うと、源三郎を残して居室を飛び出した。
花梨は走った。泣きながら走って走って、いつの間にか家に着いていた。日はどっぶりと暮れていたが、電気も点けずに膝を抱え、町じゅうに響き渡るほどの大声を上げて、泣いた。
「おじいちゃーーん!!」
花梨の著変に気づいたのか、玄関にいた小源太が、ダダダーーっと花梨の傍まで駆け寄ったかと思うとピタリと立ち止まり、心配そうに花梨の涙を舌で拭った。花梨は小源太をギュッと抱きしめた。
花梨の泣き声に呼応したか、源三郎へのエールか、犬小屋の源太が遠吠えを上げた。雲がゆるりと流れ、朧月がやさしい光を放ち、源太に答えた。
夜遅く、幸子は花梨の様子を見に佐藤家を訪れた。花梨は泣き疲れて、小源太を抱いたまま居間で眠りこけていた。小源太は花梨に抱きすくめられて身動きが取れず、〝いーーーっ〟と体をくねらせ、懸命に脱出を試みている。
「あらまぁ」
幸子は少し笑って、花梨の腕から小源太をそっと抱き取り、布団を花梨の肩までかけた。
「おじいちゃんは大丈夫やよ。花梨ちゃんがおるから」
幸子は寝ている花梨にそう言って、自宅へと帰った。
「おじいちゃん……」
花梨は穏やかな表情を浮かべ、幸子にかけてもらった布団を抱きしめながら、夢の中で源三郎を呼ぶのだった。
つづく